新入生に対するメンタルヘルス面接の試み(I)
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概要
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S大学の新入生全員に対し、メンタルヘルス面接を試みた。学生相談室のオリエンテーションを丁寧に行い,相談室がどのようなところであるのかを知ってもらうこと,問題を抱えていない学生も含めて,できるだけたくさんの学生と接触の機会をもつこと,必要を感じたときに相談室を気軽に利用できるようきっかけづくりをすること,学生が自らの精神的な健康について考える機会を与えることなどがその目的であった。対象はS大学新入生1934名のうち,定期健康診断を受診した1929名(受診率99.7%)であり,入学直後の定期健康診断時に,その一環として実施した。まず「メンタルヘルス問診票」への記入を求め,それをもとに新入生全員に対する「保健師面接」を行った。その際一定の基準を満たす学生,学生相談室での相談を希望する学生,保健師により相談室につないだ方が良いと判断された学生に対し,学生相談室の常勤カウンセラーがその場ですぐに顔を合わせ,「カウンセラー面接」を行って「相談室面接」の予約をするという方法を試みた。「保健師面接」において,上記の理由で「カウンセラー面接」を勧められた学生は175名(全体の9.1%)であった。そのうち「カウンセラー面接」を行った学生は124名(全体の6.4%),カウンセラーに会うことを希望しなかった学生は49名であった。49名のうち3名は後日自主的に来談した。「カウンセラー面接」を行った124名のうち「相談室面接」の予約を行わず会場で話をしただけで終了した学生は79名(64%),「相談室面接」を予約した学生は45名(36%)であった。予約した学生の中で,実際に相談室を訪れた学生は24名(53%)であった。「相談室面接」を行った学生について,1回の面接で終了した者が9名(37%),何らかの形で継続面接を行った者は15名(63%)であった。それぞれの学生の詳細について述べ,いくつかの視点より考察した。今後の課題として,「メンタルヘルス問診票」を整備し,保健師との連携をより緊密に図りながら,さらにこの試みを続け,学生の動向を注意深く追っていく必要性を指摘した。
- 久留米大学の論文