生活綴方的教育方法の再考 : 鈴木道太を手がかりに
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概要
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鈴木道太は、1930年代、農民の子どもに「生きる力」としての学力を保障していく生活綴方教育を実践した。彼の教育は、(1)学級を班に分けて放課後労働させ、学力保障も班で取り組んでいくことを通して、子どもに集団で協働して生活していくことの意義を身体で了解させた。(2)このスタンスは授業でも「実物によって学ばせる」方法として貫徹された。それは、学習内容を子どもが「生活台」を潜らせて考え、意見を発表し、それを学級集団での共同「研究」活動として教師が組織する指導法であった。(3)その際鈴木は、目指した学力が子どもに形成されたか否かをチェックする尺度として、その意見や考えが「下の世界から証明」されているか、を用いている。彼の場合、この尺度が「批判的リテラシー」の批判軸である。つまり、鈴木の生活綴方的教育方法は、この批判軸で物事を判断し、自分の意見を持ち、それを他人に対しても説得的に説明していく力(=「生きる力」)をどの子にも育むことであった。