児童福祉施設における要養護児童の生活環境と援助職員の職場環境の関連性に関する研究(1) : 乳児院,児童養護施設における生活環境と援助職員の職場環境に関する研究動向
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概要
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本研究は,これまでの乳児院,児童養護施設における援助行為ならびに援助内容と援助体制に関わる基礎資料と調査データを収集,整理分析し,要養護児童の施設における生活環境と職員の職場環境に関する研究動向について明らかにした.特に,入所施設職員の職務体制と援助の関係を明らかにすることを目的に開発された既存のスケールの測定内容を検討し,施設援助の実態把握に必要な測定項目に関する考察を行った.本研究の結果,乳児院,児童養護施設における在所児の動向や援助課題や体制に関わる全国的な実態調査は,これまで全国乳児福祉協議会や全国児童養護施設協議会に調査部会などを設け,施設の団体が企画,実施する形で,年度ごとに設定されたテーマに関する全国単位の傾向を把握するものや,公の委託研究などによって行われてきた.しかし,(1)施設での援助体制に関わる職員個別の職場環境や職員の意識・態度を明らかにしたもの,(2)要養護児童の援助に関わる援助者の特別な状況を他の援助領域との比較検討を行い,その固有性を確認しているものや,(3)先行して行われている調査知見をふまえて援助行為や職務体制,施設環境と児童の生活環境の関係性について実証的に分析しているものはほとんど見受けられないということが明らかになった.また,職員の仕事や職場環境と援助の関係性について把握,検討を可能にするものとしてMoosら(1974)の開発した施設職員の職場環境スケール(Work Environment Scale以下WES)を評価尺度として活用することによって,要養護児童に関わる援助を他領域の施設援助と比較検討し,その共通性と独自性の検討が可能になることを示唆することができた.
著者
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