河口域の抽水植物群落に生息する均翅亜目幼虫の塩分耐性
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概要
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汽水域に成立したヨシ群落に生息するヒヌマイトトンボと,隣接する淡水の放棄水田に出現したアオモンイトトンボおよびアジアイトトンボ,モートンイトトンボの卵および幼虫の塩分耐性を比較した.卵を0‰(蒸留水),5‰,10‰,15‰,20‰の濃度の塩水に入れ,4齢幼虫になるまで飼育した.どの種も高い塩分濃度で孵化率が低下し,アジアイトトンボとモートンイトトンボは20‰の塩分濃度で全く孵化しなかった.この2種は15‰における幼虫の生存率も低かった.一方ヒヌマイトトンボとアオモンイトトンボにおける塩分濃度に対する孵化率と幼虫の生存率の変化は,ほとんど同じで,この2種は汽水環境で十分生息できると考えられた.これらの結果から,ヒヌマイトトンボの保全を行うためには,幼虫の生息場所の塩分濃度の調節とともに,成虫の生息空間も考慮すべきであると指摘した.
- 2004-12-25