聖ラーマリンガルの思想と運動 : 灯火の表象を中心に
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概要
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聖ラーマリンガル(1823-1874)は,19世紀南インド・タミル地方の聖者の一人である.五〇年余の短い生涯に創作したタミル語による膨大な韻文作品は,浩瀚な『ティルヴァルトパー』などに纏められ,近代タミルナードゥのヒンドゥー教文学活動が極めた頂点の一つを構成している.聖ラーマリンガルは,タミルナードゥのスィッダ(シッタル)の伝統に立つ宗教者であった.彼の作品の中で,最高神は多くの場合「シヴァ」と呼ばれるが,それは宗派的な神としてのシヴァ神というより,タミル語で時に「スィヴァム」と表現されることからもわかるように,擬人的表象を超えた非宗派的な響きをもつ存在であった.本論文では,聖ラーマリンガル独自の神観念を,神の表象のしかた,とくに「灯火」による神の表現の問題に焦点をあてて明らかにし,当時の時代状況に照らしながら,その思想的・社会的意義について考察を及ぼす.
- 2009-03-25