rDo rje theg pa'i mtha'gnis sel baにおける経典引用の方法について
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概要
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Jnanasriに帰せられる『金剛乗に関する二つの極端な見解の排除(rDo rje theg pa'i mtha'gnis sel ba)』は,密教思想とそれ以外の仏教学説(とりわけ中観学説)との関係について論じた小品である.この著作においては,密教思想がそれ以外の仏教学説よりも優越していることが,11種の方便善巧(thabs la mkhas pa,^*upayakausalya)の観点から詳説される.しかしその一方で,著作の冒頭においては,密教思想が従来の伝統的な仏教の枠内にあることも,いくつかの経典を引用することに基づいて主張されている.本論においては,『金剛乗に関する二つの極端な見解の排除』の経証において,(a)'Phags pa yons su mya nan las 'das pa (^*Aryamahaparinirvanasutra,『大般涅槃經』),(b)'Phags pa gsan ba lun bstan pa'i mdo(原典は不明),(c)'Phags pa lhag pa'i bsam pa bskul ba'i mdo (^*Aryadhyasayasamcodanasutra,『大寳積經發勝志樂會』)の3種が用いられていることを指摘した後,これらがBu stonのrGyud sde spyi'i rnam文献のいくつかにおいても,多少の文言の出入りはあるものの,ほぼそのままのかたちで用いられていることを示した.またそれと同時に,『金剛乗に関する二つの極端な見解の排除』の経典引用の方法が,後代のチベット仏教に影響を与えた可能性についても示唆した.
- 2009-03-25
著者
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