木曽川泥流のC^<14>年代のヴュルム氷期年代学にたいする意義
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
学習院大学のC^<14>年代測定ラボラトリーにおける木曽川泥流中の木幹の年代測定結果は約27,000年まえという数字をだした.このことは信州ロームのS1層準,高部礫層すなわち小牧段丘の堆積末期などの年代を決めたことになる.一方,この時期に汎世界的に大陸氷河が後退したことがわかっている,海岸地域における上記段丘の形成と氷河の後退を偶然の一致とみることはできないかも知れない.木曽川段丘群の1つ高部段丘は大部分は木曽川泥流の被覆によってよく発達したかにみえる段丘だが,木曽川が濃尾平野にそそぐところには小牧扇状地をつくっている.しかしここでは火砕物質の量はもはや相対的にごく僅かになっている.ここに扇状地堆積物を形成したのは,エーム間氷期以後の海面低下期間における海面の一時的停止または軽微な上昇を意味するように思われる.しからば,このような段丘の発見によって日本の海岸地域のヴュルム氷期を二分できる.この二分法でいうならば日本アルプスの最大氷期,旧石器文化の盛行および海面の最低下などはすべてヴュルム氷期後期の事件になる.
- 地学団体研究会の論文
- 1964-03-30
著者
関連論文
- 木曽川泥流のC^年代のヴュルム氷期年代学にたいする意義
- Recent Variation in the Atmospheric Radiocarbon and the Problem of Transfer of Radiocarbon into Hydrosphere