木曾谷のローム層II
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概要
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1.新期ロームの重鉱物組成は垂直的にほとんど変化がない.したがって,この点だけでローム層の層準をきめることはできない.しかし,露頭で第1スコリア(末川泥流)・第4浮石・第2スコリアなどの特徴に注目して,ローム層の層準をきめることは可能である.2.第1スコリア(末川泥流の分布は木曽谷だけ)・第2スコリアは木曽谷・松本盆地・伊那谷を通じて分布し,3地域のローム層の対比に有効なkey bedである.3.新期ローム中の不整合はほぼ同一層準にあらわれる.この時期に,Mass WastingあるいはSolifluctionが発生した可能性が強い.従って,作業仮説として,この不整合は同一時間面を示すkey bedとなりうる.4.中期ロームの重鉱物比は新期ロームのそれよりわずかに小さい.その組成は新期ロームとほとんど違わないしかし,3枚の特徴ある浮石層によりローム層の層準をきめることは可能である.5.中期ローム中の3枚の浮石層は重鉱物比及びその組成に顕著な特徴があり,有効なkey bedとなる.水成の浮石は,2次的堆積物でない限り,key bedとして有効である.6.古期ロームについては不明の点が多い.しかし,最近木曽谷及び伊那谷において,続々と新しい事実が発見されており,その全貌が明らかとなる日も近いであろう.
- 1963-09-25