造構作用の熱力学
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概要
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造構作用にあずかるいろいろの現象を解析して物理・化学的なモデルを作った。熱力学による考察から,造構作用のエネルギー源はマントルから地殻に流れこむ非定常熱流であることが推察される。えられたモデルは造構運動[T],マグマの上昇[M],変成作用[R]の相互作用として数式化される。このモデルは一種の熱機関で効率はせいぜい10%である。造構作用の原因として,マントル内部の熱対流が地殻を変形させるとの考えと,マントルの分化にともなう力学的仕事が地殻の昇降運動を起させるとの考えとがある。どちらが熱力学からみてもっともらしいかを論じた。[T]-[M]-[R]相互作用のモデルをいろいろな構造・条件の下でとき,地向斜期から地背斜期への推移を示す解をえた。各々の時間スケールは10^8年,10^7年の程度になる。造構作用にともなう火成活動を与える解もえられる。地質学のデータを物理的立場からみる手段の一つとして,ここに用いたような数値実験の方法を提唱する。
- 地学団体研究会の論文
- 1962-01-25
著者
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島津 康男
Institute of Earth Science, Nagoya University
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島津 康男
Institute Of Earth Science Nagoya University