肺移植における再灌流障害に対するUrinary Trypsin Inhibitorの効果
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概要
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肺移植において,移植後早期の大きな問題点とされている再灌流障害に対するUrinary Trypsin lnhibitor(UTI)の効果につき実験的に検討した.雑種成犬で左肺の温阻血モデルを作成し,温阻血時限再灌流時間は2時間とした.コントロール群とUTI群に分け,UTI群には再灌流時に1万単位/kgのUTIを投与した.コントロール群は,再灌流終了時において肺血管抵抗,肺湿乾燥重量比共に有意に上昇し,病理組織でも間質の肥厚および好中球の浸潤が認められ,生存実験では7日間以上生存したのは5例中2例のみであった.それに対し,UTI群では,肺血管抵抗は軽度の上昇がみられたが肺湿乾燥重量比は有意な上昇はなく,病理組織でもほとんど変化が認められず,生存実験で5例全例が7日間以上生存した.以上よりUTIが肺の再灌流障害を有意に抑制することが示された.これは,UTIの好中球プロテアーゼ阻害作用によるものと考えられる.
- 特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会の論文
- 1992-05-15
著者
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