大博覧会と小博覧会--ヴィクトリア朝ロンドンにおける中国の展示品
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概要
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1851年に世界最初の万国博覧会がロンドンで開かれた。当時のイギリスの代表的な文学者、W.M.Thackerayがこれに対して大賛辞を呈しているのに対し、CharlesDickensの評言は冷やかであった。しかし、DickensはHousehold WordsにR.H.Horneと共同執筆した"The Great Exhibition and the Little One"(大英帝国の展示品と中国の展示品)では異なった考えを述べている。彼はイギリスの展示品については、先進技術を誇るものときわめて肯定的な見方をしている。他方、中国の展示品は時代遅れのものと否定的である。本論では、そのDickensの考えを解明すると共に、1842年以後ロンドンで続々と展示されていた中国の"Little Exhibition"がイギリス人に与えた印象を考証する。それは必ずしも否定的なものではない。むしろ、"Little Exhibition"は、その形として、中国の文化を初めて紹介する役割を果すものとして評価されている。特に1848年の"Chinese Junk"はロンドンに異国情趣を呼び起こした。