33. 阪神淡路大震災前後における学校防災の自己評価の変化

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研究の背景と目的学校施設が、地域防災において重要施設であることは、阪神淡路大震災において再確認されるところとなった。それは、本来は教育施設であるものの、避難所としてのみならず、地域での被災後の災害対応活動の拠点としても重要な役割をはたしてきた。とくに、人口密度が高く、空地も少ない都市部においては、学校は重要な災害対応施設である。しかし、それは、教育施設として安全であることが前提である。教育施設としての安全性が確保されなくては、避難所としても、また地域の防災拠点的施設としても活用に支障がでる。この研究は、学校防災の実態を自己評価することによって各々の学校での防災対策の向上に寄与することを念頭に作成したアンケート調査を用いて、阪神淡路大震災の発生以前に実施した調査結果と以降に実施した調査結果とを比較し、自己評価がどのように変化したのか、を検討したものである。概要と結果調査内容は、大きく以下の3点である。 (1)学校建築の構造と建築年代 (2)校舎・職員室・教室・給食施設などの防災的状況 (3)地震防災訓練の実施状況とその内容阪神淡路大震災以前の調査(1993年9月中下旬実施)は千葉県市川市の公立小中学校に対するもの(全55校から回収)で、阪神淡路大震災以後の調査(1995年6月下旬実施)は東京都内の公立私立の小中学校・高等学校からのもの(61校からの回答)である。学校防災に関する地域差はないものと考えて単純に比較すると、1970年代の人口増加が著しかった市川市では、校舎の建築年度が昭和46年の建築基準法改正以降のものが多いものの、学校内の施設状況には大きな差異はなく、什器の固定などの対策にも大きな差異はなかった。しかし、防災訓練等に関する自己評価では、事前調査では、「やっている、評価できる」との高い自己評価の傾向がうかがえるのに対して、事後調査ではそれらの自己評価が低くなっている。このことは、阪神淡路大震災での都市型地震災害の被害状況や学校利用の状況を見聞する中で、これまでの学校防災の訓練状況やその実情に対して、厳しく見つめなおしていることの現れであろうと考察できる。最後に、この実態調査から、学校防災の課題を考察した。

33. 阪神淡路大震災前後における学校防災の自己評価の変化

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