39. 大・中規模災害救難輸送に対するホバークラフトの利用
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概要
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日本における災害被害は年々減少してきているが、全国的規模で見れば、未だに毎年のように、何件かの中規模災害に見舞われている。また、関東大震災で代表される大規模災害も10年に一度程度の頻度で発生するものとしなければならない。大・中規模災害では、罹災者の救援が重要である。現状では、罹災者に3日間程度の自助能力を想定しているが、ガス、電気、水道等の普及、食生活の変化、スーパーマーケット等の流通機構の変化等々によって食料や飲料水の定常的備蓄の減少、核家族化、都会化による住民意識の変化、特に、地域連帯感の希薄化等によって、より早期の救難が必要となってきている。救援において重要な問題の一つが緊急輸送である。一般に道路、鉄道、港湾等に相当の被害を受けた状況における緊急輸送は極めて困難である。特に、都市近郊を水田が取り囲む我が国の状況では、通常の交通手段による輸送は難しい。そこで、伊勢湾台風の被害および救難の経験に基づき、ヘリコプターによる緊急輸送能力の飛躍的向上が計られ、一定の成果を上げてきている。しかし、同時にこのシステムの限界もほぼ明らかになってきており、例えば、北海道南西沖地震の場合には目覚ましい活躍をすることはできなかった。水陸両用性の不整地走行に適する輸送機関としてホバークラフトが注目される。ホバークラフトの特徴を列記すれば、1)時速100km程度の高速走行が可能、2)高低差1m未満の不整地走行が可能、3)水陸両用性、4)積載貨物量0.1-200t程度の範囲内で各種のサイズのものが使用できる、5)乗員養成が簡単、6)初期価格、維持管理価格、運行費共に極めて安価等が上げられる。欠点としては、1)騒音が基準内ながら相対的に大きい、2)振動が相対的に大きく旅客の快適性に欠ける、3)旅客船として使用した場合に収益率が他形式高速船より数%程度低い、とされている。このホバークラフトを大・中規模災害の救難輸送に利用する可能性を調べた。全国規模でホバークラフトによる災害救難システムを計画すれば、災害日翌朝から防災・救難活動を開始でき、その効果は極めて大きい。世界各国における救助用ホバークラフトの実態についても報告する。また、近年需要が増大しつつある大規模災害時の国際救援についても考える。
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