7. 被災建物の応急危険度判定
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概要
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(1). 論文の概要 本論文は神奈川県建築物震後対策推進協議会から委託を受けて行った調査に基づくものである。被災建築物の安全性を緊急に判断するシステムについて、建設省の判定基準に基づく判定体制の整備について、その概要と課題を報告する。建設省では被災建築物の被災度判定基準を策定している。それは応急危険度判定と被災度区分判定の2つがある。その基準を踏まえて、実際に被災度判定を実施するための体制に関する調査・研究を神奈川県13の特定行政庁と行い、被災度判定システムの構築を提案した。特に応急危険度判定制度については自治体が行う必要性があると考えられたので、詳細なシステム構築を行い、同時に課題も明らかとなった。本論文では、システムの概要と課題を述べている。課題は次の様な諸点であった。被災度判定のうち応急危険度判定は自治体がその災害対策業務として行うべきと考えること、応急危険度判定の法的根拠は現在のところ不十分であり、整備を図るべきこと、判定作業を行うには多くの建築技術者を必要とするところから、建築士の協力を得て行うシステムが望ましいこと、同時にボランティアとして協力を求めることには関係者の努力が必要と考えられること、判定を行う自治体に判定制度に習熟したコーディネーターが必要であり、その養成が重要なことなどが明らかになった。(2). 位置付け 既存建築物の耐震性を判定するものとして「耐震診断」があり、その診断結果により補修・補強が行われてきている。一方、地震によって被害を受けた建物の安全性を判断するシステムは現在、徐々に構築されつつあるところである。建設省の策定した判定基準はものさしであるが、実際に判定を行うためには誰が、どのように、どのような根拠に基づき、何を行うかを明らかにする必要があり、また判定を行うためにはそのための人材の育成を図っていかなければならない。その具体的な体制に関する検討を行った最初の調査・研究として本論文は位置付けられる。
- 地域安全学会の論文
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