各種光重合型コンポジットレジンの背景遮蔽効果について
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概要
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近年,患者の審美的欲求の高まりやMIの概念の普及によりコンポジットレジン修復が多用されるようになってきている.コンポジットレジンは審美修復材料であり,歯質の色調再現のため,半透明という性質をもち,厚み,下地となる窩底の歯質の色彩などの影響を大きく受ける.そこで今回,各種のコンポジットレジンを着色した象牙質に充填した際にどの程度背景の着色を遮蔽できるかを調べるために,以下の実験を立案した.今回使用した材料はソラーレ(ジーシー),エステライトΣ(トクヤマデンタル),クリアフィルマジェスティ(クラレメディカル),ビューティフィルII(松風)で試料を作成した.シェードは4種類の材料に共通するスタンダードシェードレジンのA3とオペークシェードレジンのA3を使用した.試料はスタンダードシェードレジン単体1.5mmとオペークシェードレジン単体1.5mm,積層した試料はスタンダードシェードレジンのA3を1.0mmとオペークシェードレジンのA3を0.5mm重ねた1.5mmと,スタンダードシェードレジンのA3を0.5mmとオペークシェードレジンのA3を1.0mm重ねた1.5mmの4種類を作製した.測色は分光測色器を用い,白色板と黒色板,L^*値が75,65,55,45,15とした水性顔料無光沢色票を背景とし,分光測色を行い,XYZならびにCIELAB値を算出した.実験結果より,レジン層の厚み1.5mmの場合,オペークシェードレジン単体では,背景遮蔽効果は十分ではなかった.浅く着色の強い窩洞には,オペークシェードレジン層の厚みをなるべく大きくし背景の遮蔽が必要であることが示唆された.また,今回比較を行った4種類の材料のなかでは,光拡散性のあるS-PRGフィラーを使用したビューティフィルIIが本実験条件において背景遮蔽に優れているため,着色のある窩洞には審美的に適した材料ということがわかった.
- 2008-10-31
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