精神科看護における禁煙指導
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概要
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我が国の禁煙の歴史は古く嗜好品として考えられていた。しかし、近年喫煙が呼吸器系疾患の有病率を高め、健康障害の発生要因となることが科学的に証明された。また、喫煙者のみでなく副流煙による受動喫煙の概が明らかになった。このため厚生労働省は、産業保険領域や未成年者の喫煙予防、公共の場における喫煙制限などを推進し、平成15年に健康増進法が施行された。喫煙は、個人の問題であると同時に家族や社会問題としてとらえられ、神奈川県をはじめ自治体によっては条例によって禁煙指導を強化しようとしている。一方、精神科病院では、古くから患者の喫煙率が高く、看護職員は喫煙制限や禁煙指導に苦労しているが、他の診療かに比較して精神科看護職員の喫煙率が高いのが特徴である。また、精神障害者の禁煙指導が病状悪化を伴うこともあり、喫煙が容認されてきた歴史的背景がある。近年、公共の場での喫煙場所が制限され、企業や学校、病院内での敷地ない禁煙が当然となりつつある。子の大きな流れの中で、入院中の精神障害者のみが適切な情報や指導を受けずに、嗜好品扱いされながら喫煙を続けることは、社会的に容認されがたい。今ではインターネットなど情報化が進み行政庁や各種団体からの禁煙指導や治療情報が容易に入手できるようになった。精神科看護師は、入院患者の一日も早い回復への努力は当然であるが、同時に入院中の患者の健康管理としての禁煙指導は看護業務に位置づけなければならない。