わが国の観光創造における『海洋観光』の意味と戦略可能性
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概要
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本稿の目的は2つある。1つは、近年、わが国の国家戦略の1つともいえる「観光立国論」における「海洋観光」の重要性を明らかにすることある。もう1つは、わが国の高等教育・研究機関における観光学テーマとしての「海洋観光」の必要性を議論し、その発展的可能性を考察することにある。わが国の「観光立国」という戦略課題に対応して、観光分野での高度な専門知識を有する人材育成は急務であり、そのための大学教育の充実は、北海等大学大学院における「観光創造専攻」の設置を筆頭に、観光学関連の学部や学科の設立という形で、顕著に見られるようになってきている。しかしながら、大学院レベルは別として、新しい学部や学科では、カリキュラム上も、わが国の地理的、文化的、あるいは経済的背景からしても極めて重要な「海」という要素が観光との関連性において取り扱われる形跡はない。近年、一般的になりつつある大学マーケティングの視点からも、議論する必要があると考えられる。また、わが国は海運、海上交通においても、その歴史的発展過程から明らかなように、技術的水準でも世界のトップに位置している。このような恵まれた海洋資源の活用は、観光経済学の視点からも、これを抜きにしての「観光立国論」は存在しない。
- 大手前大学・大手前短期大学の論文