松代藩兵制士官学校関係資料(其の一)
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概要
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松代藩に兵制士官学校が設立されたのは,慶応4年6月(1868)のことである。当時の国内情勢を反映してのことと思われるが,各藩とも競って軍備の拡充に務めていた。このような時代の影響は,松代藩においても例外ではなく,近代的な兵備を整える必要上,西洋式の兵学校の創立に踏み切ったものと考えられる。同藩では,かなりの財政上の逼迫をおしてまで,この学校の開校を決定したものの,教官となるべく人物の採用には苦慮していた。幸い縁故を頼って,洋学者として著名であった武田斐三郎(1827-1880)(2)の招聘に成功し,授業を行わせたのは,明治2年(1869)1月11日のことである。その希求に答えて,斐三郎はフランス語や最新のフランス式兵学をもって後進の指導にあたり,その育成に専心した。さて,従来の研究によれば,松代藩兵制士官学校で主に使用された教科書の詳細に関しては,まったく明らかにされていなかった。ところが,最近,これらの問題に触れた極めて重要な資料を入手することが出来たので,ここに報告することにする。なお,松代藩兵制士官学校の主要教科書(何れもフランスの兵学書よりの翻訳本)は3種類あり,『法國歩兵演範 散兵部』,『法國歩兵演範 小隊部』,『法國新式歩兵演範 銃兵〓法』がそれである。これらの新資料は日本仏学史研究のうえで,大変興味深いものなので,写真も合わせて発表することにした。
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