小笠原の「乾性低木林」とは何か
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概要
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小笠原の乾性立地に成立する低木林と矯低木林のうちで、シマイスノキが優占し、特有の随伴種群をもつ森林を乾性低木林とよぶ。乾性低木林は父島と兄島にまとまった林分があり、とくに父島の中央山東平に希少種の分布が集中している。現在の立地は雲霧の発生と密接な関係にあり、乾湿の絶妙なバランスの上にかろうじて維持されている。また、母島南部や属島にある、シマイスノキを欠くが組成・構造が乾性低木林に近い低木林は、乾性低木林に準ずる森林である。乾性低木林の構成種の多くは耐乾性を備えており、地中海性気候の硬葉樹林に内容が近い。筆者による長期モニタリング調査では、近年の希少種の減少、および全体の種多様性の低下傾向が認められる。