ラットのモノクロタリン誘発による実験的肺高血圧症モデルに対するエリスロポエチン投与の有効性
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概要
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エリスロポエチン(EPO)は赤血球造血因子として発見され,腎性貧血の治療に用いられてきた(エンドクリン系).EPO受容体は赤血球系造血細胞のみならず心血管系や中枢神経にも発現しており,組織保護作用・血管新生作用などを介した多彩なパラクリン系をもつことが知られるようになった.原発性および二次性の肺高血圧症(PH)は予後不良の疾患で,肺血管内皮障害が発症と進展に重要とされる.EPOの投与が肺血管内皮の生存を高めることでPHを改善しうると考え,動物モデルを用いた治療実験をおこなった.ラットにモノクロタリンを投与すると,肺細動脈の血管内皮障害と中膜肥厚によるPHが誘発された.これをEPO持続静注で治療したところ,抗アポトーシス分子BCL-XLの誘導と血管内皮由来分子PECAM-1およびエンドセリンの発現量の減少の抑制,肺細動脈の中膜肥厚の改善,および肺高血圧と右心肥大の改善が観察された.EPOのアシアロ体にはこの作用がなかった.肺高血圧の治療にEPO投与が有効である可能性が示された.
- 新潟大学の論文
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