アンジオテンシンII受容体拮抗薬-オルメサルタン-は高血圧自然発症ラットにおける心房リモデリングを抑制する
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概要
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高血圧症は心房細動を含む心臓病の原因となり,心筋肥大,心筋細胞アポトーシス,間質の線維化などのリモデリングが,高血圧症からの心臓病発症に関与している.近年の大規模臨床研究で,アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)が,高血圧患者における心房細動の新規発症を抑制することが報告された.その機序として,心房リモデリング抑制が考えられているが,心房リモデリングに対するARBの効果,機序についてはなお不明な点も多い.本研究では,ARBの心房リモデリングに対する効果がその降圧作用と独立したものか,またどの様な機序によるか検討を行った.6週齢の高血圧自然発症ラット(SHR)をコントロール群(CTL),アゼルニジピン(AZ)(カルシウムチャンネル拮抗薬,CCB)群,オルメサルタン(OM)(ARB)群の3群に分け,各8週間治療を行い検討した.治療後の血圧はAZ,OMでCTLに比し有意に低下したが,2つの治療群間では差を認めなかった.心房組織の検討では,AZ,OMはCTLに比し心筋細胞肥大の抑制を認め,さらにその効果はAZに比しOMで有意に大きかった.間質線維化はOMでCTL,AZに比し有意に抑制された.酸化ストレスマーカーのひとつである3-nitrotyrosine染色を行い検討したところ,OMで有意に染色性の低下を認めた.さらにOMではCTL,AZと比し,酸化ストレス発生源の一つであるNADPH oxidaseの活動性と相関するsmall G protein,Rac1活性のより強い抑制を認めた.以上より,OMはAZに比し,高血圧ラットにおける心房リモデリングの抑制に効果的であり,その作用は降圧作用と独立しており,酸化ストレス抑制を介する機序が示唆された.
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