同種造血幹細胞移植における急性GVHD発症に対するシクロスポリン濃度測定の意義
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概要
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造血幹細胞移植におけるgradeII-IV急性GVHD発症の危険因子を同定するために,1989年3月から2001年7月までに当院で施行された造血幹細胞移植症例のデータを後方視的に解析した.CyclosporinA(CsA)と短期Methotrexate(MTX)の併用でGVHD予防を行った症例は,73例(男性47例,女性26例)であった.CsAは1.5mg/kgの用量とし3時間点滴静注1日2回行い,移植day-1から開始して,前処置による腸管障害が改善して経口可能になるまで継続した.MTXは15mg/m2をday1,10mg/m2をday3,6そして11に投与した.GradeII-IV急性GVHDは18症例(25%)に発症した.多変量COX回帰解析によると,C5(静注開始5時間後の全血血中濃度)が高値であることがgradeII-IV急性GVHD発症を抑制して,1ng/mLの上昇につき,ハザード比0.994(95%信頼区間0.989-0.999)で抑制したことを明らかにした.今回の解析結果は,CsA血中濃度のきめ細かなモニターリングが,重症急性GVHD発症の予防に有効である可能性を示唆している.今後これを確認するためには,さらに前方視的臨床研究が必要である.
- 新潟大学の論文