SNP相関解析による子宮内膜症の疾患感受性に関与する遺伝子群の検索
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概要
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【目的】子宮内膜症は比較的頻度の高い疾患であるが,その発症機序はいまだ明らかにされていない.これまでにわれわれは,27039個のマイクロサテライトマーカーを用いたゲノムワイド相関解析により9つの候補領域を限定した.今回,これらの候補領域から子宮内膜症の疾患感受性に関与する遺伝子群の検索を目的としてSNP相関解析を行った.【対象と方法】疾患群として子宮内膜症症例600例,対照群として臨床所見により子宮内膜症が否定された一般女性600例より得られたゲノムDNAを対象とした.方法は,マイクロサテライトの前後約200kbを候補領域としてSNPを約10kb間隔に設定.TaqMan法あるいはDirect Sequence法にて多型判定を施行し,疾患群・対照群にてアレル頻度差異をχ2検定により検定した.統計解析は,p<0.05を有意基準とした.【結果】9つの候補領域のうちSNP相関解析にて有意差を認めた領域は5領域(4q28.1/6p21.32/9p21.3/10p14/10q11.21)であった.これら5領域のうち候補遺伝子が存在する3領域においては,CDKN2B(9p21.3),ALOX5(10q11.21),HLA-DQA2/DQB2(6p21.32)の4遺伝子が候補遺伝子として存在し,それぞれCDKN2B;p=0.0025(case25.8% vs control20.3%),ALOX5;p=0.0093(case16.3% vs control20.8%),HLA-DQA2;p=0.019(case18.7% vs control22.7%),HLA-DQB2;p-0.0034(case29.5% vs control35.4%)と有意なアレル頻度差を認めた.【結論】9つの候補領域を対象としたSNP相関解析によりCDKN2B,ALOX5,HLA-DQA2,HLA-DQB2の4遺伝子が子宮内膜症との関連が推測される候補遺伝子として同定された.
- 新潟大学の論文
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