フランス語動詞活用について : 鍵語:フランス語・文法・形態論・動詞・活用(荒井聰子教授記念号)
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概要
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ラテン系の言語の例に洩れず、多くの文法書や辞書の巻末付録に見られる通り、フランス語の動詞活用は、一見度し難い、変幻自在な複雑さを呈している。初学者にあっては、例えば実際の文中に現れる動詞の不定法を同定できないために、辞書でその動詞の意味を調べることすらできない、という状況も稀ではない。学習のできるだけ早い段階で、動詞活用全体を律するある種の規則性を把握させることが、学習者の心理的負担を減らすために重要と考えられるが、そのためのあるべき呈示方法の一つを提案するのが本論の目的である。具体的には、形態上最も錯綜し、かつ学習者が最初に出会うことになる直説法現在形を出発点に、語幹の数および人称配分、ならびに語尾の人称変化の型を基準として、一方で一動詞内の各法・時制間の関連、他方で複数の動詞間の類似を示しうる動詞活用表の骨格が粗描される。