ポストコロニアル批評から見たヘンリー・ジェームズ『ねじの回転』
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概要
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私は本論文において、ヘンリー・ジェームズの著書『ねじの回転』におけるイギリス19世紀末の階級社会の表象と19世紀末のイギリス帝国と植民地インドの関係について着目し、ポストコロニアル批評の立場から考察をおこなった。私は主に以下の2点を主張した。まずひとつは、この著書における、ヘンリー・ジェームズの訂正-「子供たちの親」から「主人の親」-は、世代さかのぼることにより、古くより行われていたイギリス帝国によるインドの植民地支配を強調していること、そして第二点に、『ねじの回転』における登場人物の相互関係が当時の階級社会を反映していることは明白であるが、私はさらにそれらの関係が、イギリス帝国と印度の植民地のメタファー関係として理解できること、である。そして最後の結論においては、ジェームズの19世紀末における友人への手紙から、彼のイギリス帝国に対する気持ちの表れと考えられる文章を引用し、私の結論を補強した。