山あげ祭のイメージと心理的機能 : 当番町、時代、祭への関与に着目して
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概要
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本研究では、栃木県那須鳥山市烏山地区の山あげ祭を対象として、当番町、時代、および祭への関与に着目しながら、山あげ祭のイメージや心理的機能について検討を行った。SD法により、金井町は派手で賑やかなイメージ、仲町は静かでこぢんまりとしたイメージ、鍛冶町は豪華でありながら伝統を重んじる質実剛健なイメージなど、各当番町の個性が浮き彫りにされた。各当番町が個性を固持することは、自町のアイデンティティや誇り、他町への競争意識を高め、6年に一度当番町を務めあげるにあたっての原動力、鳥山全体として山あげ祭を継承するモチベーションとなっていると考えられる。因子分析により、山あげ祭の心理的機能として「集団における自己実現」「自由」「神聖さ」「自尊心」「協同」の5因子が抽出された。男性、自営業者、宮座に入っている人、若衆経験者はより集団における自己実現欲求を、宮座に入っている人はより神聖さや自尊心を、高齢者はより自尊心や協同欲求を充足させていた。量的データによる検討で、従来人々が各当番町、現在および昔の若衆に対して漠然と抱いてきた特質が確認されると同時に、何百年間もの間、変遷を遂げつつ継承されてきた伝統的祭のなかに今なお固有の祭の精神が受け継がれていることが示唆された。
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