特別養護老人ホームにおける終末ケアの課題 : 文献的考察
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概要
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本稿の目的は,特別養護老人ホーム(以下,特養)の終末ケアをめぐる現状について文献を通して概観し,その課題を明らかにすることである。文献検討の結果,以下のことがみえてきた。特養の利用者の介護度分布は重度の方に集中し,死亡退所者が6割以上を占め,終末ケアはより身近である。特養においては,利用者の8割に認知症の症状が認められる。認知症のある高齢者の自己決定をいかに支えていくかを検討することは今後の重要な課題である。特養は本来生活の場であり,「生活」に主眼をおいた終末ケアが求められる。最期までその人らしい生活ができるようサポートするために,具体的にどのような方法で高齢者の願いを汲み取ることができるのかを検討することも重要な課題である。また,特養の終末ケアは看護師が不足する中で行われている。特養における看護のあり方も十分には認識されておらず,終末ケアを可能にするための看護のあり方についても検討していく必要がある。特養では,終末ケアに関する明確なガイドラインが存在しないまま,職員の認識もそれぞれの中で終末ケアが行われている現状も明らかとなった。今後,終末ケアに関心ある職員の資質を生かせるよう終末ケアのガイドラインについても検討していく必要がある。
- 鹿児島純心女子大学の論文
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