「関東甲信8県市町村教育委員会調査2008」結果の補足検討 : 自由記述回答を中心に
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概要
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本稿は、摂南大学教職教室が2008年2月から4月にかけて東京都を除く関東甲信地方8県に所在する市町村教育委員会を対象として実施した質問紙調査(「関東甲信8県市町村教育委員会調査2008」)の、単純集計結果では報告しきれない自由記述回答を部分的に紹介し、若干の考察を加えることを目的としている。我々がこの調査を実施したのは、時期的には地教行法一部改正法が成立し改正地教行法が施行される前後になる。したがって、この度の地教行法改正の概要は我々が2005年に行った調査の時点では明示的ではなかったことから、今回の調査は前回調査と時期的な比較対照が可能であるとも考えられる。本稿はこうした観点から、この度の地教行法改正の概要に即して調査の結果を補足検討しようとするものである。まず教育委員会の組織について、教育委員の本務職業は無職が圧倒的に多いほかは、比較的、実務時間が自律的に調整可能な職業が上位に並んでいる。また、教育長を除く一教育委員会の構成人数を4人として算出すると、児童生徒の保護者が0.66人となり、前回調査時点から倍増していることから、教育委員として保護者を選任することを義務化した2007年の地教行法一部改正法の影響が現れたとも推察できる。教育長の多くの回答からは、教育委員に選任される保護者の代表性を担保するための工夫は窺うことができなかったが、PTA役員経験が現実的だと捉えられているようだ。さらに、保護者が教育委員として会議に臨む際の配慮事項として、保護者の立場からの意見を尊重しようとする配慮と守秘義務への配慮の二つが特に目立った。次に教育委員会の設置単位について、3割弱の教育長が市町村の連合(共同設置)による広域化を望ましいと答えていた。