チベット所伝毘沙門天の研究(7) : ポトン著作の『毘沙門天王の現観増益』
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概要
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筆者は、ここ十年来、弘法大師請来正系現図曼荼羅を念頭に、その原寸大の復元制作に臨んでいる。制作にあたっては、諸尊の図像の根本を高雄曼荼羅に求めた。高雄原本の代替資料として、長谷寺所蔵兼意本を底本に御室版高雄曼荼羅を参考にした。彩色に際しては、東寺蔵甲本を底本に、高野山蔵血曼荼羅を参考とした。両本共に図像は高雄本に忠実に描かれている。正系以外では、同時代の作例として東寺蔵乙本と西院曼荼羅を参考にした。但し、主眼は甲本の持つ正系たらしめる部分を可能な限り忠実に転写することにある。残念ながら甲本は金胎共に下半分がほとんど欠損している。文化財保存修理所において平成12年から16年にかけて本格的な復元修理が施されたが下部はどうしても断片的にしか窺うことができない。血曼荼羅は全容を留めてはいるが、色彩が不鮮明になっている。両本とも何度も間近で観察したが読み取れない部分が多数ある。制作にあたって、図像は高雄曼荼羅に忠実であるが、諸尊における身色については、先ず経軌及び実作例の比較表を作成検討した。
- 種智院大学の論文
著者
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