1970年代の黒人女性のファッションとブラックスプロイテーション映画における強い女性像の関係
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概要
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1970年代にハリウッドで作られたブラックスプロイテーション映画には女性蔑視を助長するような作品が少なくないが、『コフィ』(1973年)や『クレオパトラ・ジョーンズ』(1973年)などの女性主人公は、それまでとは違った、美しくて強いという新しい女性像を打ち出している。その特徴はヘアスタイルや衣装で際立っているが、それらは単に映画のために作られたものではなく、当時のファッションを反映するもので、黒人社会におけるブラックパワー運動、フェミニズムの台頭、美に対する意識変革などと密接に関わっている。つまり、ブラックスプロイテーション映画における強い女性像は当時の社会的および文化的背景を反映し、またそれらに影響を及ぼした。映画のストーリーだけでなく俳優のヘアスタイル、衣装、メイクなどが黒人女性表象の歴史を辿るうえで重要な映画的表現法の一つとなっており、一見すると現実離れしているような内容の映画も歴史を映す貴重な資料となり得る。