日本の作業療法における対象者理解の歴史的変遷 : 脳血管障害の作業療法からみる健康観と主体性
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概要
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本稿では過去40年間の日本の作業療法実践が時代とともに変遷いまだその中で対象者の健康やその主体性をどのようにみているのかを検討するため,G. Kielhofnerが示したパラダイムの構成要素参照し,脳血管障害に対する作業療法に関する文献の検討を行なった。その結果,パラダイムの変遷は確認できたが,健康や主体性についての視座の乏しさがみられた。変遷した要因としては,(1)米国の実践や理論の影響を強く受けていること,(2)QOL概念の導入により,医療者中心の治療主義から対象者中心の生活モデルへ視点が変化しつつあること,(3)医療技術の進歩による疾病構造の変化,(4)高齢社会の到来による,要介護者の増大という4点が考えられた。また対象者の健康や主体性に対する視座が乏しい点については,海外の実践や理論の平行使用による理論と実践の乖離,日本独自の実践理論の未成熟による哲学的基礎の欠如という2点から考察を加えた。
- 藍野大学の論文