都市型産業の発展と進化 : タウンページの分析から
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概要
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NTTのタウンページの索引をみると、職業の数が3000件をこえており、とてもバラエティにとんでいて興味が尽きない。はじめて職業別電話帳が発行された1951年には約500件だったが、その後、時代の変遷にあわせて追加や改編がなされてきた。たとえば、1975年には、ガードマン、おにぎり屋、テレホンサービスが登場し、ミルクホール、輪タク、テレビ俳優が廃止されている。最近では、インターネット・プロバイダー、債権回収業、中等教育学校(中高一貫教育校)などが新しく掲載された。栃木県のタウンページは県域を南北にわけて二分冊だが、東京23区は五分冊で合計3万ページもある。タウンページから、都市には、さまざまなサービスが成立し、いかに企業の活動や個人の生活を支えているかがよくわかる。いわゆる三次産業だけでなく、スーパーのチラシの印刷やコンビニ弁当の食品加工などの工場も、都市ならではの産業である。都市の利便性を求めて人口が集中し、これらの人々を対象として、さらに新たな産業が勃興する。こうした、従来の伝統的な産案分順におさまらない、都市を市場基盤とする多様な産業を、「都市型産業」とよぶことができる。タウンページは、近年、インターネットでも利用できるデジタル情報サービスがとても充実した。これを使って、それぞれの業種の事業所数を検索した結果、那須大学がある栃木県を例にとると、宇都宮市への集中度が県全体の50パーセントを超えているものには、たとえば、広告関連業、貸しビル・駐車場業、ソフトウエア業、などがあった。昨年の国政調査によれば、全国で、人口30万人以上の都市の八割が、過去5年間で人口が増えだのに対して、5万人未満の都市は、反対に八割が減少した。集積が集積を呼ぶ効果と考えられる。また、人口20万人前後の都市は、その魅力度によって、発展するか、衰退するかの分水嶺になっている。伝統的な産業があり、過去に繁栄していた都市ほど落ち込みが激しい。はじめは、既存の産業のすき間を埋める小さなニッチ産業でも、顧客のニーズに合わせた努力や技術革新によって、大きく成長していくこともある。宅配便がよい例だ。企業自らの創意工夫で市場を開拓していくことの大切さはいうまでもない。都市型産業は、鉄鋼業のように、日本全体の総需要がある程度決まっていて、各企業がシェア争いをするというものと異なる。たとえばホテルのように、新たなサービスの供給が需要を創造する。都市間競争の時代、産官学の協力によって、こうした都市型産業を、地域特性に合わせて積極的に集積を図っていくことが求められている。経済不況脱出の処方箋のひとつとしても、国レベルの構造改革や不良債権処理に加えて、地域あげての都市型産業の育成を期待したい。
- 宇都宮共和大学の論文
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