初級日本語学習者の語彙知識の量的側面と語彙学習ストラテジーの関わり : ハンガリーの日本語学習者を対象に
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概要
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本研究はハンガリーの日本語学習者を対象に,初級日本語学習者が語彙学習で使用するストラテジーと,語彙知識の量的側面との関わりについて調査,研究したものである。データ収集では,学習者の語彙学習ストラテジー使用傾向について調査するために質問紙調査を行った。また,語彙知識の測定のため,受容語彙と産出語彙についてそれぞれテストを実施した。そして,アンケートの結果とテストの結果について統計分析を行った。その結果,語彙知識の量的側面と語彙学習ストラテジーとの関わりにある傾向が見られた。受容と産出の両方に共通した傾向では,語彙の記憶の際「文脈と共に記憶するストラテジー(contextual encoding)」を使用することと,語彙テストの結果に正の相関が示された。一方,産出語彙で特に見られた傾向として,「記憶ストラテジー(エンコーディング)」及び,学習した語彙を練習したり使用したりする「活性化のストラテジー(activation strategy)」と,語彙テストの結果が関連している可能性が示された。このように,初級日本語学習者の語彙量においても受容面と産出面では,それと関わりがあると見られる学習ストラテジーには共通部分と異なる部分があることが示唆された。