「ええ」の機能についての一考察 : 「はい」との比較を通して
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概要
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本稿では、「ええ」の持つ待遇表現の機能について考察する。先行研究(北川1973、日向1980)では「はい」は「認知」、「ええ」は「同意」の機能であるとする。この基本的な違いを踏まえ、「はい」のみ使える文例、「はい」「ええ」が共に使用可能な文例について分析し、「はい」との比較を通して「ええ」の機能について考察した。その結果、「はい」「ええ」の使い分けには話者が共有する情報の度合いが深く関与していることが分かった。共有する情報の度合いは話者間の関係を決定づけ、親疎・待遇関係へと密接に関わっていると考えられる。「ええ」を使うためには話者間での情報の共有が前提となる。情報の共有がなければ同意することはできない。また同意表明のためには相手の発話内容を評価・判断する過程を経なければならない。この為「ええ」によって相手との距離が縮まり同等感が出る。従って「ええ」は自己の主張・感情を積極的に表明する応答であり、「ええ」での応答は話者間の情報共有を表明し、相手に対し自らを同等な立場に位置づけると考えられる。故に不適切に「ええ」を使えば親近感・同等感を超えて相手に失礼な印象を与える可能性もある。よって、このような相違点について、適宜、現場の指導に織り込んでいくことも有意だと考えられる。
著者
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