関節痛と薬物・サプリメント(第21回都民公開講座《関節痛とつきあう》)
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概要
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中高年にみられる関節痛のもっとも多い原因が変形性関節症osteoarthritis(OA)である.保存的治療として,安静,保温,運動療法に加えて,薬物治療が行われる.アセトアミノフェンは容易に購入できる鎮痛薬で,本邦では一日1.5gまで使われる.痛みが強い場合は非ステロイド性消炎鎮痛薬nonsteroidal anti-inflammatory drug(NSAID)であるインドメタシン,ジクロフェナック,ロキソプロフェンといった薬を使用するが,上部消化管障害などの副作用に注意が必要である.これらの薬剤はシクロオキシゲナーゼcyclooxigenase(COX)を抑えることによって,痛みや炎症の原因となるプロスタグランディンE_2(PGE_2)の産生を抑制して効果を発揮する.近年,胃腸障害を軽減するため,COX-2選択的阻害薬が使われるようになってきた.関節内へ薬剤を直接注入する治療法も医療機関では行われている.ステロイド剤は即効性があり,効果も劇的であるが,副作用を避けるため頻回に用いないほうがよい.ヒアルロン酸はその物理的性質と抗炎症作用により,OAの症状を軽減するとされている.副作用が少なく,定期的に注入して効果をあげている.現在販売されているサプリメントにはさまざまな種類があるが,グルコサミンはその作用が科学的に議論されている唯一の物質である.グルコサミンのOA治療への歴史は1960年代のドイツにさかのぼる.その後,1990年代後半から北アメリカで大ブームを巻き起こし,いくつもの臨床治験が行われた.有効性を示す研究結果があるが,否定的な意見もある.一方,グルコサミンの基礎的研究は盛んに行われており,抗炎症作用,軟骨分解酵素の抑制作用が明らかにされ, OAの症状を軽減するだけでなく,進行を抑制する可能性が克く示唆されている.
- 順天堂大学の論文
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