在日中国人大学院生における精神的健康度とその心理・社会的要因
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概要
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目的:在日中国人大学院生の精神的健康度の低下が懸念されている.本研究の目的は在日中国人大学院生の精神的健康度を把握し,それらと関連する心理・社会的要因について検討することである.対象:本調査対象者は関東,東北,北海道の大学に在籍する中国人大学院生267人である.方法:2005年5月から6月にかけて,無記名自記式質問調査票を用い,調査を実施した.調査内容は調査対象者の属性,精神的健康度(神経症症状(GHQ)と抑うつ症状(SDS),心理・社会的要因(日常いらだち事,自尊感情,特性不安,情緒的支援ネットワーク)などで,最初に,在日中国人大学院生の精神的健康度について男女別に比較した.次に精神的健康度と心理・社会的要因との関連性を通常の統計学的解析と共分散構造分析により検討した.結果:神経症症状(GHQ)と抑うつ症状(SDS)の要注意群の割合(GHQで男性39.0%,女性58.8% ; SDSで男性36.8%,女性51.9%)が高かった.特に女性は男性に比べてその割合が高かった.情緒的支援ネットワークが不十分であることが,日常いらだち事および個人的不安要因(自尊感情の低下,特性不安)を増大することにより,精神的健康に悪影響をおよぼすという因果構造モデルが得られた.結論:本研究では在日中国人大学院生の精神的健康度は日本人青年より低いことが示された.とくに,女性は男性より神経症症状(GHQ)と抑うつ症状(SDS)の要注意群の割合が高いことが示された.また,充実した情緒的支援ネットワークは日常いらだち事を適切に対処させ,個人的不安要因を軽減させ,精神的健康にポジティブな効果をもたらすことが示唆された.情緒的支援ネットワークの構築と充実が今後の課題だと思われる.
- 順天堂大学の論文
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