短歌の中の音象徴語
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概要
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短歌の中に用いられる音象徴語のうち,表現効果の認められたものについて,どのような特徴があるのかを明らかにしたいと考え,小高賢編著『現代短歌の鑑賞101』(1999年,新書館)に収められた101人の代表歌各30首,計3030首の中に用いられている音象徴語(和語のみ)を対象とし,1拍語基の語を「A型」とし,2拍語基の語を「AB型」(第2拍がラ行音以外)と「AR型」(第2拍がラ行音)とに分けて調査を行った結果,以下のことがわかった。『現代短歌の鑑賞101』に収められた3030首の短歌の中,音象徴語の用いられたものは208首で,異なり語数で147語,のべ語数で222語であった。約14首に1語の割合で用いられていたことになる。また,1首を31拍として1首当たり0.27拍,総拍数の約0.87%である。拍数について天沼寧編『擬音語・擬態語辞典』と比べてみると,両者で最も異なっているのが3拍語であった。3拍語は一般には2拍語基に促音や撥音や「リ」の添加されたタイプが中心であるが,短歌においては2拍語基に促音や撥音の添加されたタイプはあまり用いられていなかった。また,AR型の語基を重複した4拍語も多く見られた。従って,語末の音についても,短歌では促音,撥音であるものが極めて少なく,特にAB型で語末が「リ」であるものが顕著であり,語末が「リ」である語が少ない新聞の4コマ漫画の場合とは対照的であると言えるだろう。
- 同志社大学の論文