組織不祥事と信頼 : 組織の境界問題をめぐって

概要

2007年を象徴する言葉は「偽」であった。それほど組織不祥事が続出した一年であった。日本を代表する一流有名企業による不祥事はいうに及ばず、薬害肝炎訴訟や社会保険庁の年金不払い問題、防衛省の機密情報漏洩事件など中央官庁による不祥事も続出している。食品メーカーによる産地偽装、賞味期限の改ざん問題や人材派遣会社による偽装請負や二重派遣に至っては枚挙に暇がない。これらの一連の不祥事は日本社会において信頼が低下ないし崩壊していることを如実に示している。われわれ経営学者の立場からすれば、これらの不祥事は「組織的に行われている、あるいは組織的に隠蔽される」という点で、看過しがたい重大な問題を孕んでいる。そこで本稿では、バーナードの組織理論を基礎にして、信頼という視角から組織不祥事の発生・抑止メカニズムについて考察していきたい。一般的に、経営倫理やCSR(企業の社会的責任)が経営に内在的な論理であるのに対して、信頼は経営に外在的な論理といわれる。しかし本稿では、オートポイエーシス論を援用することによって、組織把握の視点の転換をともなうという点において、かかる考察はとりもなおさず、組織の境界を問い直す作業にほかならない。

著者

原 敏晴 大阪商業大学経済学部

関連論文

ピックアップ論文