臟器組織新陳代謝ノ研究補遺 : 健康犬ノ股動,靜脈血ニ於ケル糖,乳酸,あせとあるでひーど及,あせとん體ノ分布ニ及ボスあせとんノ影響ニ就テ

概要

論文の詳細を見る
麻醉藥ニ因リ生體ノ新陳代謝,殊ニ含水炭素,脂肪並ニ窒素代謝ニ或一定ノ影響ヲ及ボス事ハ,既ニ各方面ヨリ探究シ,大ニ闡明セラレタリ.サレバ諸家ノ報告ニ據リくろうほるむ,えーてる及,あるこーるト同樣ノ麻醉作用ヲ有スト稱セラルルあせとんガ,是等ノ各物質代謝ニ影響ヲ及ボスコトハ蓋シ當然ナリ.今あせとんニ關スル文獻ヲ渉獵スルニ,糖尿病トあせとん血,あせとん注射ニヨル毒性作用及,其ノ組織的分布ニ就テ檢索セル業績相踵イデ發表セラレタリト雖モ,あせとんノ含水炭素代謝ニ及ボス影響ニ就テハ,只糖代謝ニ關スルモノノミニシテ,新陳代謝中間産物特ニ血液乳酸,あせとあるでひーど及,あせとん體ニ關スル報告ハ未ダ之ヲ見ズ.余ハ曩ニ鹽酸もるひね麻醉犬ニいんしゆりん並ニあどれなりんヲ注射セルニ,血液あせとん體ノ特ニ靜脈血ニ於テ著シク減少シ,爲ニ股動,靜脈血あせとん體量ノ差モ亦増大セルヲ觀察セリ.是正シク動物體内ニ形成セラレタルあせとん體ガ動脈血ニ依リ四肢ノ筋肉ニ輸送セラシ,其處ニ於テ他ノ物質ニ變化セラレタルモノト信ズ.茲ニ於テ余ハ筋肉中ニ於ケあせとんノ運命ヲ追求スルニ先立チ,體重kg當1.0,1.5及,10.0mgノ三種ニ區別シ,之ヲ犬ニ注射シテ其ノ股動,靜脈血中ノ糖,乳酸,あせとあるでひーど及ビ,あせとん體ノ分布ニ就テ研鑽シ,次ノ結果ヲ得タルヲ以テ報告セシトス.1)股動,靜脈血中ノ血糖ハあせとん注射量ニ比例シテ増加ス.而シテ特ニ注射2時間後ニ最モ顯著ナルヲ見ル.2)股動,靜脈血糖ノ差違ハあせとん注射ニヨリ増大ス.即チ血糖ハあせとん注射ノ際ニ,筋肉中ニ於テヨリ能ク利用セラルルモノノ如シ.3)血液乳酸ノ曲線ハあせとん注射ノ場合ニ血糖ト殆ド同一型ヲ取ルモ,乳酸ハ血糖ニ反シ動脈血ヨリモ靜脈血ニ多ク證明セラル.4)股動,靜脈血乳酸ノ差額ノ頂點ハ過乳酸血ノ最高値ニ一致ス.兩血管ニ於ケル乳酸量ノ差ノ増加ハ,あせとん注射ニ依ル筋肉内乳酸形成ノ促進ヲ意味スルモノナリ.5)股動,靜脈血あせとあるでひーどノ消長ハ不著明ナリト雖モ,兩血管ノあせとあるでひーどノ差異ハあせとん注射後,時間ノ經過スルト共ニ漸次増加ス.且あせとあるでひーどハ靜脈血ニ多ク存在ス.此ノ成績ニヨリあせとんノ適量注射モ亦筋肉中ノあせとあるでひーど形成ヲ促進スルモノノ如シ.6)血液あせとん體ハあせとん注射ニ依リ一時的ニ顯著ナル増加ヲ來スモ,俄然再ビ速ニ減少スルヲ見ル.あせとん少量注射ノ場合ニ兩血管ノあせとん體ン差ハ増大ス.之即チあせとん體ハ筋肉通過ノ際ニ減少ヲ來スモノナルヲ知ル.

著者

平芳與之助
京都府立醫科大學醫化學教室

臟器組織新陳代謝ノ研究補遺 : 健康犬ノ股動,靜脈血ニ於ケル糖,乳酸,あせとあるでひーど及,あせとん體ノ分布ニ及ボスあせとんノ影響ニ就テ

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク