血液蛋白自家分解ニ及ボス内分泌腺特ニ甲状腺物質ノ影響ニ就テ
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概要
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甲状腺物質ノ生物學的作用中新陳代謝亢進ハ最モ主要ナルモノナリ.即チ實驗的並ニ臨床的甲状腺機能亢進症ニ於テ標準代謝上昇シ,酸素消費並ビニ炭酸瓦斯排泄増加シ,生體蛋白分解亢進ニ因シテ尿中含窒素物質排泄亦増加スルハ既知ノ事實ナリ.甲状腺機能亢進ニヨリ斯ノ如キ變化ヲ招來スルハ酸化充進ニ基クハ明カナレド,生體蛋白ノ分解ハ,畢竟スルニ,各種分解酵素ノ作用ニ因スル自家分解ニ他ナラズ.茲ニ於テ著者ハ血液蛋白ノ自家分解作用ニ及ボス各種内分泌腺特ニ甲状腺物質ノ作用ヲ追究シ,試驗管内實驗ニ於テ或ハ動物實驗ニ於テ等シク興味アル成績ヲ得タリ.試驗管内實驗1.甲状腺物質ハ血液蛋白自家分解作用ヲ増強セシム.而シテ試驗管内ニ於テハ24時間乃至48時間ニ於テ最モ著シ.2.57度1時間加温セル非動性血液ニ就テ向一實驗ラ行フニ,甲状腺物質ノ自家分解作用亢進ヲ認ムル能ハズ.3.いんしゆりん,あどれなりん,ぴついとりん及ビあんついとりんニ就テ血液蛋白自家分解作用ニ及ボス影響ヲ檢スルニ,僅ニ抑制(いんしゆりん)ノ傾向ヲ有スルカ或ハ全ク影響ヲ有セズ。4.甲状腺物質附加血液蛋白自家分解機轉ニ於テ,蛋白分布ハ著シク變化ス.即チ殘餘窒素増加ノ外.あるぶみんノ減少トぐろぶりんノ増加ヲ惹起ス.斯ノ如キ血液蛋白分布ノ變化ハ自家分解機轉ニ於ケル蛋白質ノ鹽析性變化ニ因スルモノナリヤ.或ハぐろぶりん化生ニヨルモノナリヤ重要ナル問題タリ.5.甲状腺物質ハ酸素ノ存在ニオイテ血液血液蛋白自家分解機轉ヲ著シク増強セシムルモ,酸素ノ存在セザル場合ニオイテハ,單ニ僅微ノ蛋白分布移動ヲ來スノミニシテ分解機轉ヲ認ムル能ハズ.6.血液蛋白自家分解作用ヲ惹起スル酵素ハ,主トシテ血球内ニ存在シ,血清中ニ於テハ極メテ少量ナリ.叙上ノ實驗成績ヨリ,血液蛋白自家分解作用ハ既述内分泌物質中獨リ甲状腺物質ニヨリテノミ亢進セラル丶ヲ知ルベシ.而シテ該機轉ニ於テハ酸素並ニ蛋白分解酵素ヲ含有スル血球ノ存在ハ必須條件ニシテ,若シ兩者何レカヲ缺ケバ甲状腺物質附加ニヨルモ,自家分解現像ハ全カラズ.即チ甲状腺物質自己ハ蛋白分解作用或ハ酵素性作用ヲ有スルニ非ズシテ,カ丶ル機轉ヲ亢進セシムル賦活素トシテ作用スルニ他ナラズ.斯ノ如キハ試驗管内ニ於テノミ認メラルヽ現象ニスギザルヤ或ハ生體内ニ於テ亦同一現象ヲ呈スルヤ.即チ生體内實驗ヲ試ミタル所以ナリ.生體内實驗甲状腺物質ヲ家兎靜脈内ニ注射セバ短時間内(12時間以内)ニ於テ,試驗管内實驗ト等シクあるぶみん減少並ニぐろぶりん増加ヲ出現スルモ,總窒素量減少シ,残餘窒素量ハ増加又ハ減少ス.然ルニ長時間後ニ於テ(12時間以後)殘餘素窒増加シ,あるぶみん,ぐろぶりん何レモ減少ス.コレ甲状腺物質作用時間ノ長短ニヨル生體ノ反應差異ニ基クハ明カナレドモ,又以テ蛋白質組成並ビニ理化學的性状ノ差異ニ因スベキヲ想像セシム,依テ更ニ甲状機物質ノ連續皮下注射ヲ行ヘバ,初期.總窒素量ノ減少,殘餘窒素量ノ遂日増加(初期減少ヲ示ス例アリ),著明ナルぐろぶりんノ減少ヲ來ス.反之,あるぶみんノ増減ハ一定ヤザルモ動搖極メテ僅微ニ過ギズ.後期ニ及ンデ,あるぶみん亦一般ニ減少ス.即チ,甲状腺物質ハ血液蛋白分解ヲ亢進セシム.此際主トシテぐろぶりんノ分解顯著ナリ.甲状腺物質ガ生體無限ノ蛋白分解酵素ヲ刺戟シタル結果ニ基クヤ明カナリ.
- 京都府立医科大学の論文
著者
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