零余子の話 : 薯根茎の機能高分子との比較
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ムカゴ(零余子)の高分子機能成分を分画精製し、澱粉、アミラーゼ、マンナン、ペプチドおよび糖タンパク性のαーガラクトース認識レクチンについて、化学的、生化学的特性を薯根茎の成分と比較した. ムカゴの澱粉は薯根茎の澱粉と異なり、分枝の短い鎖状構造をとり、内在する酵素で分解されやすい構造と考えられる. βーcyclodextrinのアフィニティカラムに吸着、精製し、SDS PAGEで均一のαーアミラーゼを得た. 種々のマルトオリゴ糖に対する作用から唾液型、とカビ型の中間の広い基質特異性をもつ酵素である. やまいも根茎と異なり、ムカゴには、"とろろ"特有の粘稠物は存在しないと思われていたが、硫安沈殿で得た蛋白画分から均一なマンナンペプチドを得た. アルカリー還元処理による両者の遊離から、主な結合はO-グリコシド結合である. 糖鎖末端αーガラクトースを認識するレクチン(38kDa)を精製した. このレクチンはヒト血液B型および植物や微生物のガラクトマンナンとも結合することがわかった.