中国西南部,龍門山系中部地区におけるナップ及びクリップ構造
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概要
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中国西南部,四川盆地の北西縁を限る龍門山系の中部地区には,形成機構の異なる二種類の異地性地塊群が存在する.一つは,thrusting-spreading nappeで,側方圧縮による衡上断層群によって形成されたナップ群であり,他の一つはgliding-spreading klippeで,重力滑動によって形成されたクリップ(飛来峰)群であって,龍門山構造帯はこの両者によって構成されている.またこの二種類の地塊群は成因的に密接な関係にあって,まずナップ群が"piggy-back thrust propagation"によって順次形成されてゆき,その重力に不安定な部分が,やがて山地本体と分離して滑動し,飛来峰群を形成したものと解釈される.さらに,重力滑動による飛来峰群は,内部構造の特徴によって二つの形式に区分される.一つは滑動褶曲型で,褶曲と断層とによる複雑な変形構造を示すが,他の一つは滑動岩盤型で,比較的単純な変形の水平に近い構造で下位の岩体を覆う.これらの飛来峰群を形成した重力滑動の時期は,インドシナ運動の最後の時相に当たるが,最終的にはヒマラヤ運動の時期に及んだものと思われる.
- 地学団体研究会の論文
- 1993-09-25
著者
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侯 建勇
Graduate School of Science and Technology,Niigata University
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植村 武
株式会社日さく新潟支店
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侯 建勇
The Graduate School of Science and Technology, Niigata University
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植村 武
The Graduate School of Science and Technology, Niigata University
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侯 建勇
Graduate School Of Science And Technology Niigata University
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