自然環境における微生物の生体鉱物化作用(<特集>環境地質学)
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概要
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微生物は,自然環境下で,極めて多種多様な鉱物を沈積させるのに役立っている.この現象は,微生物による生体鉱物化作用として知られている.微生物による生体鉱物化作用の重要性は,単に,微生物の生息する環境かきわめて多様というばかりでなく,微生物が独特な生理と独特な細胞構造をもつことにある.例えば,100℃以下の温度,嫌気的な堆積物の中で,微生物が硫酸塩を還元させ,硫化物の沈澱を行っている.同時に,微生物は,金属イオンを結合する能力をそなえており,その能力によって,細胞を核形成の場として,自生鉱物を沈澱させている.現在の環境下でも多くの微生物が,広く生体鉱物化作用を行っているが,過去においても,鉱床の形成にバクテリアが寄与したと思われる証拠が多く見出されている.さらに,鉱山や工業活動により破壊された環境下において,微生物による生体鉱物化作用の数多い記録は,微生物による鉱物の沈澱が環境変化の敏感な指示計となり得ることを示している.
- 地学団体研究会の論文
- 1993-05-25
著者
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Ferris F.
Department Of Geology University Of Toronto
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Ferris F.G.
Department of Geology, University of Toronto