四万十帯の層序,層相と造構史
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概要
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四万十帯は西南日本外帯の太平洋岸沿いにあって,相当層も含めると沖繩から房総半島まで連続する一大テレーンである.その構成岩体は複雑に褶曲したタービダイト堆積物からなる.構造的には高角逆断層ないし衝上断層によって境され,北に傾斜した地層群が覆瓦構造をなしている.断層に沿ってはチャート,玄武岩,多様な色調の頁岩などの異地性岩体を含むメランジェ帯が発達する.時に酸性凝灰岩が挾在する.複雑に変形した地層群の層位的上位には変形の弱いタービダイトないし浅海成堆積物が分布する.多くの研究者によって詳細に検討されてきた砂岩の岩石学的諸性質は、四万十帯の構成岩石は成熟した活動的火山島弧からもたらされたものであることを示している.各地の四万十帯構成岩体の層序,層相ならびにその構造からみて,四万十帯は少なくとも白亜紀から中新世初期にかけて,クラブレートの北へのサブダクションによって形成された,日本列島の南東部への付加体ないし堆積体である.
- 1986-09-25