下部石炭系日頃市層より産出の三葉虫Conophillipsia(Proetinae亜科)の新種について
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概要
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岩手県大船渡市日頃市町の樋口沢の西南方へ伸びる支沢の最奥部より,新たに下部石炭系日頃市層下部を示す豊富な勤物群を見出した.それらの内より,Conophillipsia属の特徴を示す三葉虫の1新種を記載した.本属はオーストラリア,東アジア,中央アジアの下部石炭系(主としてトゥルネー統)から知られている.本種はオーストラリアの上部トゥルネー統産の模式種Conophillipsia brevicaudata ROBERTS, 1963,及び,我が国の同じ北上山地南部の長坂地方,南常磐井里(みなみいわいり)の下部石炭系唐梅館(からうめだて)層産のConophillipsia decisegmenta KOBAYASHI & TACHIBANA, 1978と近縁であるように思われる.しかし,本種の頭鞍は3対の側溝を有するが幾分先細りの亜卵形を呈し,密集した細かい類粒状の装飾に覆われる点で特徴的である.上記3種は何れも頭部に細い周縁帯を回らせ,緩く盛り上る背甲を持つ.中央アジア産の5種の内の2種もまたこの点については同様である.本論文ではこの特徴に基いてこれ等5つの種はひとつのグループを成すものと考え,Conophillipsia属の二分を試みた.もうひとつのグループはオーストラリア産の2種の内の他の1種,及び,中央アジア産の残りの種の計4種から成り,頭部に分厚い周縁帯を回らせ,強く盛り上る背甲を持つことで特徴付けられる.
- 地学団体研究会の論文
- 1983-03-25
著者
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