琉球列島,大神島産小型有孔虫
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概要
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琉球列島の宮古島地域には,沖縄本島南部に分布する島尻層群の相当層の分布が知られている.この地域の島尻層群相当層のうち,最下部にあたるものは大神砂岩部層とよばれる多くの礫を含む地層で,この地域の新第三系の基底に近いものとみなされてきた(DOAN et al., 1960)・筆者はこの大神砂岩部層の分布する大神島へ渡る機会を得,大神島北端において細砂岩と泥岩の互層を観察し,泥岩の試料を得た.宮古島地域に分布する島尻層群相当層は南落ちの傾斜をもち,大神島が宮古島の北方に位置する事から,この泥岩は宮古島地域の新第三系の最下部のものと考えられる.したがってこの泥岩試料によって地質時代が判明すれば,少なくとも宮古島地域における島尻層群相当層の層位学的研究への一つのデーターになりうると考え,ここに報告する.試料から個体数は少ないが,40種の底生有孔虫と12種の浮遊性有孔虫が検出され,それらの分析により以下の事が判明した.1)底生有孔虫集団は暖流の影響をうけた沿岸水域の環境を示す.2)浮遊性有孔虫集団にもとづき,BLow(1969)のゾーンに対比すると,少なくともN18〜19,おそらくN18に対比できる.上記の結果に宮古島の島尻の見化石(首藤,談話)と与那浜の有孔虫化石(HUANG, 1968)に示される古環境をあわせると,宮古島地域の新第三系堆積時の海深が,浅海から深海へと変化した事がしられる.中新世末期からの深海化は,沖縄本島の島尻層群(LEROY, 1964)や熱帯地域の新第三系(BANDY, 1968)にも認められており,この結果と調和的である.
- 地学団体研究会の論文
- 1975-11-20