洞くつ地質学ノート : 8.入水鍾乳洞のノッチと曲流現象
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概要
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筆者らは,1970年卒業研究で,入水鍾乳洞とその付近の鍾乳洞の地質学的研究を行なった.その際,入水鍾乳洞によく発達しているノッチ,および曲流現象を観察したので報告する.調査地域は阿武隈山地の中央部,福島県田村郡滝根町菅谷から神俣にかけて分布する南北約5km,東西約3kmの通称仙台平とよばれる地域である.仙台平は標高800mから880mのほぼ平担な地形をし,西の沖積面と約400mの比高をもつ.仙台平の地表は荒地で,草原が多く,所々にドリ-ネの凹地がみられ,そこには灌木が茂っている.仙台平はおもに石灰岩より構成されているが,砂岩および粘板岩をともない,それらは石英閃緑岩体の貫入によって熱変成作用を受け,すべて結晶質石灰岩(大理石),および黒雲母ホルンフェルスとなっている.この石灰岩体には大小いくつもの鍾乳洞が形成されていると言われているが,今回は入水銀乳洞,鬼穴,釜山鍾乳洞について調査した.そのうち入水鍾乳洞は発見が古く,国の天然記念物に指定されている.入水鍾乳洞の内部は,洞の幅が狭く,屈曲が多く,洞くつ生成物の発達もよく,洞くつの研究に適した鍾乳洞である.また,洞床には流水が多く,見学にはこの水流の中を歩いていくのでこの名がつけられている.
- 地学団体研究会の論文
- 1972-11-25
著者
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