山陰・北九州産中新世後のいわゆる高アルミナ玄武岩類についての考察
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概要
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山陰および北九州産中新世後のいわゆる高アルミナ玄武岩類平均化学成分は,北九州新世後玄武岩類平均化学成分,北九州大陸系火山岩類平均化学成分および山陰大陸系火山岩類平均化学成分に比較すると,ノルムor-ab-an三角図ではややan成分に富んでいるが,ノルムwo-en-fs, wo-fo-Q, Q-fo-faの各三角図ではまったく同じ傾向を有している.このように同様な特徴を有しているので,いわゆる高アルミナ玄武岩類平均化学成分は,冨田(1958)の異常玄武岩類に属する.また,山陰および北九州産のいわゆる高アルミナ玄武岩類平均化学成分と,北九州中新世後玄武岩類平均化学成分,北九州大陸系火山岩類平均化学成分および山陰大陸系火山岩類平均化学成分におけるノルム長石成分を比較すると,第IV章で述べたと同様に,前者が後者に比しておくれており,逆に有色鉱物成分の進化は,前者が後者よりすすんでいる.さて,筆者はすでに北九州異常玄武岩類について,次のように報告した(松本,1961).すなわち,これの本源マグマはアルカリ橄欖石玄武岩マグマであり,これと他岩類との混成作用が考えられることを述べた,さらに,1962年までに報告された北九州産のいわゆる高アルミナ玄武岩類についても,同様な成因が考えられることを報告した(松本, 1964).上記のように,山陰および北九州産のいわゆる高アルミナ玄武岩類平均化学成分についても,異常玄武岩類に属することが明瞭であるから,同じような成因が考えられる.すなわち,山陰および北九州産のいわゆる高アルミナ玄武岩類の本源マグマは,アルカリ橄欖石玄武岩本源マグマであって,これと他岩類との同化混成作用(あるいはH_20の影響)によって,異常玄武岩類,あるいはいわゆる高アルミナ玄武岩類が生成されると推論される.したがって,北九州および山陰地域の混成岩系列に属する異常玄武岩類から,特に高アルミナ玄武岩類を設けて,独立した岩石系列と見なす必要性を認めない.
- 地学団体研究会の論文
- 1968-07-25