"Melania niponica var. minor"に関する覚え書き
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概要
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2004年9月に,ロンドンの大英自然史博物館所蔵のカワニナ類の標本を見る機会を得た。同館には日本,中国,朝鮮半島産のカワニナ科貝類の標本が30ロットあまり所蔵されており,その中には,琵琶湖で採集されたヤマトカワニナMelania niponica Smith, 1876(現在の学名はSemisulcospira (Biwamelania) niponica (Smith, 1876))のホロタイプ標本もある(登録番号No.75.11.24.11:図1左)。Melania niponicaのホロタイプ標本と同じロットには他に2個体の琵琶湖産カワニナ類が含まれており,現在の名前で呼ぶとタテヒダカワニナS.(B.)decipiens (Westerlund, 1883)(図1中央)と,ハベカワニナS.(B.) habei Davis,1969(図1右)である。ところで,これらの標本箱の底面に添付されているラベルを見ると,Melania niponicaの後に「+var. minor」という後代の加筆がある(図1)。現在,この変種名は使われておらず,カワニナ類の分類の基礎文献であるDavis(1969)にも,異名としてさえ挙げられていない。そこで,この変種名が何を指し,命名規約上どのように扱われるべきかについて調べてみた。
- 日本貝類学会の論文
- 2007-11-08
著者
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