アメリカの強制収容所内での文化空間の創造 : 浅野七之助とトパーズ日本語図書館1943-1945
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概要
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図書館学の歴史研究は,一般的に記念すべき事柄にちなみ,その概要を扱う場合が大半である。しかし,司書に苦闘を強いる状況下,例えば戦時下における図書館のあり方に焦点をあてた研究は,我々により多くの示唆を与えてくれる。本論文は第二次世界大戦中にアメリカ政府によって収容所に拘束された日系人の図書館利用に関しての体験を検証する。通常日系人の強制収容所に関する研究は,英語を第一言語とする日系二世の体験を扱った研究がほとんどであるが,本稿は移民一世である浅野七之助がどのような過程で他の一世,帰米二世と共に日本語図書館を創立するにいたったか,また設立にあたり収容所の管理者であった民間戦時収容機関との間にどのような闘争があったのかに焦点をあてる。本論文は聞き取り調査,公文書,新聞記事などをもとに,浅野がどのように「日本的文化空間」を創造したかを考察する。
- 2008-03-31